覚えて損なし!実地棚卸の作業手順を解説します

封筒

企業の資産管理や売上算出のために、棚卸しは欠かせない業務です。

そんな棚卸しの中でも一つ一つ現物を数える実地棚卸の作業は時間がかかり、負担に感じている企業も少なくないのではないでしょうか。

しかし、会社の損益に直結する重要な作業であるため手を抜くことが許されません。
実地棚卸は、十分な精度を保ちながら作業を続ける必要があるのです。

そこで本記事では、経理担当者として必要な実地棚卸の基礎知識から実際の手順までしっかりと解説いたします。

そもそも棚卸しとは何?

棚卸しとは、期末在庫の金額を把握するために行う作業のことを言います。

決算時には売上総利益を計算しますが、その際に期末の在庫数と仕入れ値が必要になります。棚卸しはこの在庫数と仕入れ値を改めて確認する作業になるため、期末には欠かせないものとなります。

この棚卸しには、2つの方法があり「実地棚卸」と「帳簿棚卸」に分けられます。

実地棚卸

倉庫や店舗などで、実際に人の目で一つずつ在庫を確認する方法です。
現物と在庫を記した帳簿を照らし合わせながら棚卸しするため正確に数を把握することができます。

ただし、作業にあたる人員が必要なことや、一つ一つ確認することによる時間のロスを考えるとコスト面で負担がかかります。さらに、たくさんの在庫を抱える企業では棚卸しのために通常業務を停止しなければならず機会損失にもなります。

帳簿棚卸

帳簿上で在庫を確認する方法です。
帳簿に記入し管理するため、簡単に売上総利益を計算できます。

しかし、盗難や紛失などが発生した場合は帳簿上と在庫数のズレが生じてしまいます。

実地棚卸の必要性

実地棚卸の必要性

実地棚卸は、実在庫を確認するために必要不可欠な作業です。
では実地棚卸をしなかった場合はどんなリスクがあるのでしょうか。

リスクから実地棚卸の必要性を見てみましょう。

余計な税金を払うことになる

正確な利益を計算していない場合、税務調査で指摘される可能性があります。
その場合、さらに税金を払うことになるため実地棚卸を行い、正確に利益計算する必要があります。

不正利用の恐れがある

実地棚卸を行わない場合は、帳簿上の在庫数量にもとづいて売上原価を計算します。

例えば、帳簿上の在庫数量を水増しすると、売上原価の金額が少なくなるため利益を多く見せることができるのです。

コストの増加を招く

実地棚卸をしない場合は、帳簿上の数量にもとづき仕入れる数を決めることになります。

その際、大量に在庫があったとしても帳簿上ではわからないため在庫管理費などの増加により余計なコストがかかってしまいます。

欠品がおき、損失になる

帳簿上ではあるはずの在庫が無いということが考えられます。その場合、欠品による機会損失が発生するだけでなく、納期遅延による遅延損害金を請求されるリスクもあります。

実地棚卸の手順

実地棚卸の手順

実際に実地棚卸を行う上での手順をご紹介します。
段取りよく進めることで精度が上がり時間の短縮にもつながります。
しっかり確認しておきましょう。

棚卸し前にすること

準備

倉庫の見取り図を用意し、どのようなスケジュールで行うか決めます。ここで棚卸の責任者や担当者(2人1組みの組合せなど)を決めます。

商品や倉庫の整理整頓

効率よく行うために、以下のように在庫の種類を洗い出し整理整頓します。

1. 実在庫の整理
  • 同じ品種や同じ品名のものは、できるだけ同じ場所にまとめておく
  • 必要に応じて品名や価格を記載しておく
  • 不良品は整理しておく
  • 在庫の配置図を作成しておく(どこに何があるのか見つけやすい)
2. 社外の在庫の整理
  • 戻入れができるものはしておく
  • 先方から預かり証をもらっておく
3. 預かり在庫の整理
  • 先方へ返品しておく
  • 見本や委託品は仕入れ先へ返品しておく
  • 処理できないものは、棚卸し不要の紙を貼りカウントしないようにしておく

棚卸表の確認

棚卸表の枚数やNo.が連番になっているか確認します。

商品受払帳の整備

商品受払帳は毎月末日に締め切り、帳簿残高を計算しておきます。

売上や仕入れを締切る

現品の入出荷を伴わない売上や仕入れはしないようにします。

実施日にすること

緊急入出庫の取り扱いを決める

棚卸し中に入荷した在庫は、カウント中のものと区別し棚卸しは行わないよう注意します。
また、計上も行いません。

棚卸しを行う

棚卸し担当者は、以下のように棚卸しを行なっていきます。

  1. 在庫にふっている番号の低い順から順次行なっていく
    数を数える人:商品名や品番、数量を読み上げる
    記入する人:読み上げられたものを棚卸票に記入する
  2. 棚番号が終わるごとに棚卸票を、棚番が貼付けされた場所に置く
  3. すべてのカウントが終了したら、数を数える人と立会者を交換し、ダブルチェックする
  4. 二次チェックのものは赤のボールペン等でチェックしていく
  5. 書き間違えた棚卸票は、捨てずに×を記し保管する

棚卸し後にすること

棚卸票を回収する

棚卸票を改修後、以下のような手順を踏みます。

  1. 予め作っておいた見取り図を確認し、棚卸しが終了していることを確認する
  2. 棚番号のはじめから棚卸票を回収していく
  3. 棚卸票の使用枚数や書き損じの枚数を照合する
  4. 棚卸し責任者が記載内容をチェックする
  5. 訂正がある場合は、棚卸し責任者が内容確認後、訂正印を押印する

商品受払帳に記載する

棚卸しの内容を以下のように記載していきます。

  1. 実地棚卸と帳簿残高に差異がある場合は、原因を追求する
  2. 過不足の理由が不明である場合は、棚卸し責任者の承認を得た上で、過不足数を台帳に記載し実際の数量と合わせる
  3. 不良品は、棚卸し責任者の指示で廃棄や返品などの処理をする

実地棚卸の2つの方法

実地棚卸には「タグ方式」と「リスト方式」と呼ばれる2つの方法があります。
どちらの方法を選ぶかは、会社の判断に任せられています。

タグ方式

担当者が個数を確認後、伝票記入を行い在庫に貼っていく方法です。

全ての在庫に貼付されているため目視での確認が容易にできるため、カウント漏れを防止することができます。
しかし、貼付の紙をすべて連番で管理する必要があるため、作業時間が長くかかってしまいます。

リスト方式

在庫管理システムから出力されたリストをもとに、
在庫数量がリスト上の数量と一致していることを確認する方法です。

リスト上の在庫と一致するか確認するだけとなるため、比較的短時間で作業を終えることができます。
しかし、数値の一致を確認する作業のため、現物のカウント漏れが発生する可能性があります。

まとめ

実地棚卸は、数を数えて記載するという単調な作業ですが、期末在庫の金額を知る上でなくてはならないものです。

利益計上を左右する重要な役割がありますので、手順を踏んでしっかりと行なっていきましょう。

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