間違えると大事に!知識を深めて「労働条件通知書」をカンペキに仕上げよう

封筒

企業が従業員を雇用する際に、必ず発行しなければならない書類に「労働条件通知書」があります。
その名の通り従業員への労働条件を明示する書類のため、正しく記載できているかなど
作成においては細心の注意を払う必要があります。

今後、労働条件通知書を作成する機会が訪れた際に、知識不足からトラブルに発展してしまわないよう、本記事でしっかり正しい知識を身につけましょう。

労働条件通知書とは

労働条件通知書とは、事業主が労働者と雇用契約を結ぶ際に交付する書類のことをいいます。

これまでは労働条件通知書は、労働者に対して書面にて交付することが義務付けられてきましたが、インターネットや電子メールが普及したことを受け、2019年4月より書面での交付義務が緩和されました。そのような経緯から労働者へ電子メールなどを用いた労働条件通知書の交付が認められました。

法的義務について

企業が労働者を雇う際には、この労働条件通知書を交付することが義務付けられています

労働基準法で定められている

労働基準法第15条では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と記しています。

また、労働基準法では労働条件の明示だけでなく、労働契約を解除した際の定義も定めています。

労働基準法第15条第2項には、労働条件が事実と異なった場合、労働者は即時に労働契約を解除できる。退職についても、就業規則の中で「30日前に申し出ること」とされていても、労働条件が異なることが理由であれば、退職の申し出後、直ちに退職できることを明記しています。

罰則について

労働条件通知書は、労働基準法で定められた法律のため違反した場合(明示義務違反)は罰則があります。

●必須記載事項や口頭での明示で構わない事項に関して明示がない場合は、
当該企業に罰金30万円以下が科せられる。

●短時間労働者に対して明示義務のある昇給や退職金、賞与の有無、相談窓口について明示がない場合は、行政処分として10万円以下の過料が科せられる。

対象者

労働条件通知書は、企業が雇う人材すべてに対して交付する必要があります。

正社員・契約社員・アルバイト・パートタイム・短時間労働者など雇用形態を問わず必要です。もちろん、日雇労働者にも交付の義務があります。

このとき忘れてはならないのが、各従業員で条件に違いがあるため、労働条件通知書はすべての従業員に対して個別に発行しなければなりません。

労働条件通知書の必要性

労働条件通知書は、労働基準法で発行が義務付けられていますが、そもそもどのような必要性があるのでしょうか。

労働条件通知書には、賃金はもちろん勤務地や就業時間など仕事をするにあたって重要な情報が書かれています。従業員はこれをもとに生活することになります。ライフスタイルに直結する大事な事柄であるため、食い違いなどトラブルを防ぐために書面(電磁的方法も可)でしっかりと明示する必要があるのです。

労働条件通知書の明示事項

労働条件通知書の明示事項

労働条件通知書には、必ず明示しなければならない事項「絶対的明示事項」として、少なくとも以下を記載しなければなりません。

労働契約の期間

労働契約期間の有無や、期間がある場合は日付、契約更新の有無も記載します。

就業場所

実際に労働者が働く場所を記載します。将来的に就業場所が変わる可能性がある場合でも最初に就業する場所を記載します。

業務内容

「経理業務」や「総務業務」といった具体的な内容を記載します。複数の業務に渡る場合は並列して記載しても問題ありません。

始業/就業時刻

業務の開始と終了時刻を記載します。朝礼など始業前に出社が必要な場合は、それを含めた労働時間として始業と終業の時刻を記載します。

休憩時間

休憩時間や所定労働時間の有無を記載します。

休日/休暇

労働基準法に基づく法定休日を記載します。最低週1回または4週間のうち4日の休日が必要になります。

有給休暇は、取得の有無も記載が必要です。勤務日数の少ないパートタイム従業員の場合も、勤務日数に応じた有給休暇を与えなければいけません。

賃金の計算方法/締日支払日

最低賃金を把握したうえで基本賃金を出し、諸手当の額とともに計算方法を記載します。

さらに、残業した場合の割増賃金率も深夜残業と法定時間外残業などそれぞれ記載することが必要です。また、賃金の締切日と支払日、支払方法なども記載します。

解雇を含む退職に関する事項

定年制度の有無や再雇用制度の有無、退職時の手続き方法を記載します。

発行方法

労働条件通知書には、決められた様式がありません。どのような形式で作成しても問題ありませんが、明示しなければならない項目が決まっているため不備が出る可能性も考えられます。

厚生労働省のホームページでは、労働条件通知書のひな形を公開していますので、活用するといいでしょう。

参考:厚生労働省「労働条件通知書」のひな形

作成した労働条件通知書は、書面か電磁的方法などで従業員へ交付します。
電磁的方法には以下のような種類があります。

  • FAX
  • 電子メール
  • SNSメッセージ機能

ただし、原則は書面の交付が必要とされているため、基本的には出力して書面にできるようにすることが必要です。

文字数制限のあるSMSは使用禁止ではないものの、記載事項が多く本文中に書けないことや、書面の添付ができないため利用しない方がいいでしょう。

見落としがちな注意点

見落としがちな注意点

雇用契約を結んだ際に、労働者とのトラブルになりがちなのが「いつから労働契約が有効なのか」というところではないでしょうか。

これは、労働条件通知書の効力がいつから有効なのか、企業と従業員の間で認識が違う場合があるためです。

労働契約は、採用内定通知時に締結したとみなされます。トラブルを防ぐためにも採用内定日や採用日、使用期間といった採用に関わる年月日や期間を、双方の間で明確にしておくことが大切です。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

雇用契約を結ぶ際の書類として、混同しやすいものに「雇用契約書」があります。

労働条件通知書は法律で定められたものですので、違いをしっかりと把握する必要があります。以下に違いを記していますので確認しておきましょう。

労働契約通知書雇用契約書
目的労働条件の合意を証明するため労働条件を明示するため
交付の義務義務あり義務なし
交付のタイミング内定承諾後〜入社日内定承諾後〜入社日
交付する方法企業からの一方的提示のみ双方の署名と押印が必要
罰則罰則あり罰則なし
兼用する場合もあります

「労働条件通知書」と「雇用契約書」は、「労働条件通知書兼雇用契約書」として2つの役割を兼ねる書面として作成することもできます。

まとめ

労働条件通知書は、法律で決められた重要な書類です。

意図的でなくとも、記載ミスにより最悪の場合罰則が科せられる可能性もありますので、知識をしっかり身につけて正確な書類を作りましょう。

タイトルとURLをコピーしました